落語を憎む一点
私は落語が好きです。
特に古典落語を好みます。
が、ただ一点、落語のせいで!と落語を憎むことがある。
それは「蕎麦をすする音」
お蕎麦は ずるずるっと音を立てて食べるものである。みたいなことを聞く。
この「ずるずるっ」がね…。
なんかのカップ麺のCMでも盛大に音を立ててましたが、苦手。
本来、みたいな事を言い出すと、いかにも生意気だし、昭和生まれですからね、
何の本来を知っている、と言われてしまうけれども。
江戸時代の粋な蕎麦の食べ方は「スルスルッ」とたぐり込む感じだったそうです。
で、何で落語を憎むかというと、蕎麦をずるずるっと音を立てて食べるようになったのはラジオ放送で落語をやるようになってからなんですって。
落語の影響かよ!
私の大好きな杉浦日向子先生によると、
『江戸(時代ではなく都市としての江戸)では「スルスルッ」くらいならいいけれども「ズルズルッ」は汚い、という微妙な美意識があります』
新潮文庫 お江戸でござる 杉浦日向子監修 より
と。
へー。 私は江戸文化についてはこの人のいうことをかなり信用しているので、
書いてあることは全部真に受けます。それはそれで偏っている。
だって杉浦日向子好きだもの。
「時そば」や「時うどん」なんかも、もしかしてすする音がだんだんエスカレートしてきているんじゃないか?とすら思う。
私が聴いた昔の「時そば」っていっても小さんがせいぜいですが(結構最近の人じゃないか)
そしてここが聞かせどころ!とばかりに長いことずるずるずるやられると、もう、
勘弁してくれー、と思う。
拍手をもらうまで延々やる人なんかは本当に耳をふさぎたい。
なのであまり聴かないんですが、小三治師匠の「時そば」はたまに聴きたくなってしまう。
客と蕎麦屋のやりとりが好きなの。
べつにいいんですけどね。
たかが蕎麦をすする音なんだし。
ただたんに自分があの音が苦手なだけなんですよ。
そして今日の晩ご飯が蕎麦だったんですよ…。